ニヤ伝
始まりの章 〜出会いは突発的☆(突発的すぎないか?〜
(承前)
ニアリス城 地下牢
「うわぁ…あいつ強そうだな…」
デットが言う。その目線の先はモーニングスターを持った兵士。
「大大だーいじょぉぶっ、デット君には必 殺 技があるじゃない☆」
ロザリオが言う。その必殺技とは回転切りのことだろう。
「その必殺技なら使えないぞ。お前さっき魔力がどうのこうのって言ってたよな」
「あの壺の中を覗いてみて、多分魔力回復アイテムが絶対あるから」
「矛盾した発言をするな。」
デットは文句を言いながらも壺の中を見る。その隙にロザリオが大きく息を吸って…
「きゃー!!覗きまよー!!」
「お前が壺を除けと言ったんじゃないか」
ロザリオが大声を出したことにより上の階の兵士と、モーニングスターを持った兵士がデットに近寄ってくる。
「あっ、囲まれちゃったね。どうしよっかぁ」
「お前のせいで気付かれちゃったじゃないか」
「行けデット君、必殺技を試すチャンスよ!」
「だから使えないといってるだろ、しかも無視か。自分の都合のいいことばっかり言いやがって…。」
ツッコミ所が多すぎてどこからツッコめばいいのかわからないデット。
それを楽しそうに見るロザリオ。2人の漫才を見て白くなっている兵士…。
「…あれ?これって、もしかしなくとも、チャンスってやつ?」
デットは兵士が混じりけのない白になっているのを見て、そう呟いた。
そして、コレはチャンスだとモーニングスターを持った兵士を調べ始めた。
兵士の背中には、手のひらでは収まりきらない鍵があった。デットはそれを取り、廊下の鍵を開け…ようとした。
「…曲がってやがる…」
「じゃあ私の魔法でー、直してー、あげないでもないけどー」
「…いいから直せ」
今のデットは、何かとてつもなく大きな力に動かされているような気がした。とにかく、目の前にいる姫を助け出さなくては。と、思っていた。
「わかったわー。ぴーりかぴりらら―」
「そんな呪文は要らん。何も言わずに直せ」
「ちぇ…はい、直ったわよ」
デットは鍵に目を向ける。
「…酷くなってるぞ。ちゃんとやってんだろうな」
「失礼ねぇやってるわよ。それで直ってるの」
デットはだめもとで鍵を鍵穴に差し込んでみた。驚くことに、牢屋の扉は開いた。
「…マジですか…?」
―デットはまだ知らなかった…―
―今日の出来事が自分の運命を大きく揺るがすことになることを…―
「…助けに、来てくれたんですね…?」
「ああ。助けに来た。俺はデット。お姫様、あんたの名前は?」
デットが言う。
「ニーヤ、です」
「で、あんたは何で閉じこめられてたんだ?」
「それは…」
ニーヤは沈痛な面持ちで語り始めた。
―むかしむかしのおおむかし、そのまたむかしのまたむかしのこと。
とうじまだなにもなかったこのニアリスに、『さんにんのめがみ』があらわれました。
『さんにんのめがみ』は、それぞれのじぶんの『おもい』や『ねがい』を、かたちにしました。
ひとりめのめがみは、ゆうき。ふたりめのめがみは、ちえ。さんにんめのめがみは、ちから。
そうしてつくられた『さんかくのちから』を、このち『ニアリス』をつくり、このちのどこかにかくしました。
そして、それはいまもねむりつづけています―
この神話には続きがあった。
『この地ニアリスの何処かに黄金の聖地あり。黄金の聖地の扉を開けし者、神の力を手にするであろう』
この言い伝えを信じ、聖地を探す者が大勢いた。
聖地に眠るトライフォースを手にいれんがために、他人を殺し、醜い争いをした。
それは、7人の賢者によって納められ、開きかけていた聖地への道は、7人の賢者の力によって閉じられた。それから、聖地は二度と開くことはなかった。7人の賢者の力を以てしなければ、聖地への道を開くことすら出来ないからだ。
そして、七人の賢者の血を引く、特別力の強い者を生け贄に捧げれば、聖地は開く…。
ニーヤはその七人の賢者の血を引く者の一人で、他の仲間はイゲル、ライム、レイン、ニーナ、メル、イスラ。
彼女らは、七賢者の力を多く受け継いだため、生け贄にされた。
ニーヤの話によると、既に6人は司祭デスに生け贄にされたらしく、残ったのはニーヤ一人。
ニーヤは助けが来るのを牢の中で待っていたというのだ。
「なるほど、その聖地とやらを開かせないために…」
「そうです。司祭デスにトライフォースを渡すわけにはいきませんから」
ニーヤが言う。
「謁見の間の龍が掘られた壁の裏に教会へと通じる通路があります。そこを抜けて教会に着ければ…」
「わかった。謁見の間まで道案内を頼む」
デットはそう言い。城の一階まで言った。
それからデットは、ニーヤの道案内を頼りに、謁見の間まで着き、隠し通路を抜け、教会にたどり着いた。
ニアリス教会
「おや、ようこそ、ニーヤ姫。何で此処に?」
「司祭デスに生け贄にされそうになった所を、デットさんが助けてくれたんです」
「そうですか。そこの方。貴方は、何か特別な力を持っておられる。貴方の気でわかります。
貴方なら、希望を託しても良いかもしれません。そこで、です」 牧師が語り始める。
破魔の勇者伝説のこと。
破魔の剣、サッドネスノクターンのこと、3つの紋章を手にしなければ、サッドネスノクターンは手に入らないこと。
「まず、3人の賢者にあってくること。彼等は、優れた賢者です。きっと役に立つことでしょう。」
「わかった。行って来る。」
デットは、妖精ロザリオと共に、教会を出ていった。
―これが、破魔の勇者伝説の再来になるだろう・・・。―
続く?
ちょっと変えてみた。
少しは読みやすくなった…かな?