ニヤ伝
来訪の章 〜朝起きたらピラミッドの上〜
闇の神殿
(承前)
「…い、行き止まり…?」
階段の周りには、モグラ叩きでよく見るような突起があった。
やむなくデットは、橋のあったフロアまで戻る。左の橋を渡ろうとした時、魔物に吹き飛ばされ、すぐ下のフロアへ真っ逆様。
だが、幸運なことに、そこで小さな鍵を手に入れた。
仕切り直して、デットは右の橋へ向かった。邪魔なブロックを下に落とし、進む。
宝箱から小さな鍵を手に入れ、水晶のスイッチの色を調べる。色は、赤。一本道だ。
二種類扉があったのだが、一つは錠前があり、一つは固く閉じられていた。
デットは錠前のある扉に歩を進める。
「なんかもう一本道って感じだな…」
「どこが?」
「どう見たってそうだろ」
「じゃあ後ろを見てみれば?」
「後ろ…!?」
架かっていた橋が崩れ去っていく。デットはそれを見て、走り出した。
「とりあえずこっちで良いか…!」
右側の扉を開け、そのフロアを抜ける。
その部屋にあった階段で下の階に降り、ルピーと鍵を手に入れる。
デットはその後、南の方向にある錠前の着いた扉の向こうに行く。
「…戻ってきたか」
「そうなるわね」
もう一度あの崩れる橋のフロアに行ってみる。なんと、不思議なことに、橋が元通りになっている。
今度は初めから走ってその橋を渡り、左側の扉を開ける。
左側の部屋は暗く、ランプを持っていないとマトモに歩けない。
その中で、炎がデットの方向へ向かってきていた。
「うわ…!」
間一髪、その攻撃を避けたデットは、弓矢で反撃しようとした。だが、途中でどこかに刺さってしまった。
「…金網…」
「こっちからは反撃出来ないのか…」
とりあえず、視界に入った魔物を倒しながら、迷路のように曲がりくねった道を進む。
やがて、爆弾で破壊できそうな壁を見つける。
言うまでもなく爆弾で破壊し、それによって出来た右側のフロアへの通路を通る。
「…大きな宝箱…」
「大きな鍵が必要ね」
「…また戻るのか…」
マジカルミラーを使い、入り口まで戻る。
(そういや、左側の橋の所にヒビがあったな。そこの下に大きな鍵があるのかも。爆弾で壊してみるか)
デットの考えは当たっていた。
爆弾で床に穴を空け、下の階へ行き、小さな鍵を使って上に行った所、宝箱の中に大きな鍵があったのだ。
デットは大きな宝箱の所に行き、鍵を開けた。
「ハンマー…」
「これで先に進めるはずよ!」
「ああ…」
闇の神殿 ボス部屋前渡り廊下
ついにここまでやって来た。薄暗い通路を抜け、大きな鍵でボスの間への鍵を開ける。
そして、視界が一変する。
待っていたのは、仮面を被った巨大サソリ。
「仮面の中に賢者の封じられたクリスタル…?」
そう、この魔物の中には、賢者が封じられていたのだ。賢者を傷付けることなく、魔物を倒すしかない!
デット達を見つけるや否や、尻尾を突き刺してきた。
「こっ、これはっ…!」
「アイアンテール!?」
「ポケモンじゃないぞ」
「そうこう言ってる内に…ってデット!?」
後ろで何かが床に倒れた音が聞こえた。見ると、後ろには血を流して倒れているデットがいる。
イヴァリアスがデットのもとへ駆け寄る。
デットは、ロザリオを突っ込んだ時に出来た一瞬の隙を突かれたのだ。
「くっ…ぅあ…っ!」
そして追い打ちをかけるかのようにサソリの口から炎が吹き出される。それを諸に喰らい、悶えるデット。
「ぶわっ!……!」
(息が…出来ない…)
部屋の中が炎に包まれる。
「ちょ…デット!服!服!萌えてるぞ!否、燃えてるぞ!」
「いやんもうデットったら大胆ね」
「なんの脈絡も無しにそう言うこと言うなよ、つーかそうじゃねーよ」
「なによー、せっかく場を和ませようとしてんのに…」
(…だめだ、場が和んでも背景が和まないから一層違和感を読者に与えるぞ…)
ロザリオは一回ため息をついた。
「仕方ない…。じゃあ私の力見せてあげる」
そういうとロザリオは呪文を唱え始める。一頻り呪文を唱え終わった時、デットが立ち上がった。
何故か燃えたはずの服も元通りになっていて、血も止まっている。
「えっへん!どう?すごいでしょ!」
「あー、まーたしかにな。でも、これくらいやんなきゃな!」
デットの身体が勝手に動き始める。マジックハンマーが巨大化する。
そしてそこはかとなく何処かで見たことのある巨大な腕がどこからともなく出現。
巨大な腕は太さでデットの胴体、長さでデットの上半身はある。
どこからともなく聞き覚えのある声が聞こえてくる。録音したような雑音ザリザリの・・・。
BGMも何処かで聴いたことのあるような曲が…。
(なんかまた動かされてるような…)
「俺を使え!ガオガイガー!」
「ゴルディーマーグ!」
デットはその腕に自分の腕半分を接合させる。
その時、イヴァリアスが録音マイクを取り出しまやもや立派な声真似で喋る。
「ゴルディオンハンマー、発動承認!」
続いて、ロザリオが。
「了解!ゴルディオンハンマー、セーフティディバイス、リリーヴッ!」
「ハンマー・コネクトォ!」
マジックハンマーが巨大な腕の手の中に収まる。
「ゴルディオン・ハンマーッ!」
金色に輝くその姿は…まさしく破壊神!
「ふんっ!」
巨大な腕から光り輝く釘を出す。
「うおおおおぉぉぉぉ!!」
デットはサソリに向かって突進する。
サソリはデットを刺そうとしたが、早すぎて補足することが出来なかった。
そして、デットは釘をサソリに突き刺し、マジックハンマーをたたき込む。
「ハンマー・ヘルッ!!」
この一撃で仮面が割れ、脳の一部が破損した。すぐさま、デットは巨大な腕に装着された釘抜きを立て、釘を引き抜く!
「ハンマー・ヘブンッ!!」
釘は先端が四つに割れ、魔物の中に封印されていたクリスタルを捕まえていた。これで心配は無くなった!
デットはクリスタルを左手で抱え、マジックハンマーを構える。
「光になれえええぇぇぇ!!!」
マジックハンマーをたたき込まれた魔物は重力衝撃波を浴び、光子レベルまで崩壊した。
垂直方向に立ち上がった波面を持つ重力波の中に置かれた物質は、
限りなくゼロに近い時間の内に一定距離を落下することになる。
そのため、見かけ上の落下速度が光速に達し、光子レベルまで崩壊してしまうのだ。
(勇者王ガオガイガーFINAL 1 勇者王新生! 〜獅子王凱の神話〜より抜粋)
すなわち、光になったのである。
「相変わらず流石ね、イヴァリアス伯爵」
「お前こそ。そうだ、今度アフレコ見に行かないかい?最近新しく仕事が入ったんだ」
「あら、いいわね。ご一緒しちゃおうかしら」
闇の神殿 神殿解放後
クリスタルがゆっくりと回転しながら宙を舞う。そして、巨大化する。
一人目の賢者が、口を開いた。
「デット、貴方のおかげで、魔族の手から逃れることが出来ました…。ありがとう…」
その声は、何処か懐かしいような、そんな安堵感をもたらしてくれた。
「私の名前はイゲル。闇の賢者、インパの子孫…」
インパとは、ニアリスの血塗られし歴史が収められし神殿を封じていた闇の賢者のことだ。
正確に言えばハイラルなのだが、そこらへんは言葉の綾だから気にしないで欲しい。
「…どうでも良いけど、ゲストキャラに余計な設定付けないで欲しいよな。どうしても必要なんだろうけど」
ツッコミを入れるなら、実際の設定でもそうなっているかも知れないから言葉には気を付けろ、とでも言うべきか。
「…この世界も、元々はトライフォースの置かれた聖地だったの。
でも、それを手に入れた男…盗賊のボス、『ガノン』の悪しき願いにより、こんな世界に…」
イゲルは、沈痛な面持ちで語り始める。
「…ああ、サハスラーラの爺さんから聞いた。
だけど、その黒幕の名前は聞かされてなかった…。つーかラスボスの名前原作と一緒かよ」
「そうでしょうね。何故なら、ガノンは司祭デスという自らの鏡に映された姿を使っていたのだから…。
彼は、力を蓄えると私達の光の世界をも支配しようと企んでいたみたいだわ」
デットのツッコミはスルーされた。こんな経験は一度ではない。
「そして、私達賢者の力を受け継ぐ7人の娘を鍵に使い、
封印を解き、さらにお城のあたりにもっと大きな力の通り道を開くつもりなの。でも、その道はまだ開ききっていないわ」
「つまりそれを止めろ…と」
「ええ。まだ間に合うわ。私達が7人揃えば、ガノンの潜む結界も破れるはずよ。
他の娘達の場所は、私の力で知らせましょう。あなたが、ガノンを倒すことを信じています。
その時私達も、もとの姿に戻れるでしょう…」
デットは、そこまで聞いて、決意した。
「…ちゃんと聞こえたかしら?
→ はい
いいえ 」
「……はい」
少し拍子抜けした。デット自身、この小説がゼルダのパロディだということを忘れていたらしい。
「勇者の行く道が、トライフォースへと導かれますように…」
闇の神殿後半〜イゲルとの会話まで。
ハンマーつながりでガオガイガー作中事実上最強のゴルディオンハンマーを絡めてみた。それだけ。
前回に引き続き著作権侵害たっぷり。