ニヤ伝
盗賊の章 〜女の子は悪魔だった〜
  (承前)

天地創造の「試練」を聴きながら。
実際は試練じゃないけど。光の世界のダンジョンの方が試練だけど。


はぐれものの村 ブラインドの洞窟 入り口

デットは、その神殿の中に入ると、光に包まれた。

その光が視界を満たす。

光が止み、デットの姿が見え始めた所で、ロザリオとイヴァリアスは異変に気付く。

「デ、デット…」

「そんな…」

そこにいた者達全員が凍り付いた。

デットは事態が飲み込めない様子だ。

声を出そうとしたが、何故か声が出ない。

「見損なったぞ、それじゃどこぞの変態だ」

「そんな趣味がデットにあったなんて…」

何でだよ。僕が何かしたのか?と言いたいが、声が出ないのだから仕方がない。

「それじゃあまりにも稚拙すぎてコミケにもいけないわ!」

「そっちにショック受けないで下さい!」

だから何なんだよ。そう言おうとして、やっと声が出たが…

「かいぐそ!」

何故かワケ分からん言葉が出た。

「な…、何でことだ…」

「かいぐそって…」

やはり、その場にいた全員が凍り付く。流石にかいぐそは無いよかいぐそは。

「かいぐそって何なのよー!(自主規制)でも買うのー!?」

「最近の女子は(自主規制)な言葉を使うのか…」

普通使わねーよ。そう突っ込もうと思って以下略。

「ぢぐえっすぎぱ!」

やっぱりみんな凍り付く。もうワケ分かんないし。普通出てこないよこんな言葉。

「デットが…」

「壊れた…?」

最早至極当然のリアクション。その前にみんな容姿にツッコんであげて下さい。

 

はぐれものの村 ブラインドの洞窟 神殿内部

「もうあんな目はゴメンだぞ…」

「ゴメンゴメン、ちょっとショックで…」

デットは宝箱を開ける。中には大きなガキもとい大きな鍵が入っていた。

「…誤字をそのままネタにするとは良い度胸だな。しかも笑えない」

下層の敵を避け、階段を上がる。

下の層もそうだったが、ここには盗賊が姿を変え魔物と化したものが多い。

それはここが盗賊のアジトだったからであろう。

中には光の球に姿を変えた盗賊もいて、それに当たるとムーンパールの効果も一時的に消える。

さっき姿を変えたのは光の球に当たったからだ。

にしても、ここは厄介だ。

盗賊は体当たりをしてきて、こっちの所持品を奪おうとしてくる。

体当たりしてばらまかれたものを盗もうということなのだろうが、矢なんか持っていって何をするつもりなのだろう。

盗めれば何でもいいのか?いや、それとも何か意図があるのか?

どちらでもいいが、体当たりを仕掛けてくるのが鬱陶しい。

しかも何故かコイツら、斬れないのだ。直接斬りつけても、回転切りを喰らわしても、ソードビームを撃っても後ろに飛ぶだけ。

それが余計にイライラさせた。

闇の世界は心の姿を写し出す鏡。

不老不死を求める人間が多いのか。

それともこの神殿の所為なのか。

後者は考えにくい。よって前者だろう。

縦に長い長方形のフロアに出る。

開けることの出来る扉は手前の扉。だが鍵がかかっている。

一番奥の扉は、行ってみたが何もなかったため引き返した。

「北端の髑髏の下に、鍵が隠されていると思います。それで開けられると…」

「わかりました」

北端の髑髏を壊すと、その下から光るものを見つけた。鍵だ。

鍵を開けて左の部屋へ。何もなかったのでその部屋は通り過ごした。

進行方向から見て右手にドアがあったが、そこは自分の勘によりやり過ごした。

縦に長い部屋に付く。右手一番奥の扉を開け、階段を上がる。すべてレインの指示だ。

「…ここ…」

デットは既視感を覚えた。多分、ここがカカリコ村で、友達が隠れ家として使っていたあの盗賊の隠れ家の位置にあるのだろう。

「そういや、ブラインドって盗賊がアジトにしてたとか言ってたな…」

まあいい。今はそんなこと気にしてる場合じゃない。

ブラインドの洞窟 地下牢

地下牢。デットはそこにいた。普通の神殿にこんな物があるはずがないが、気にするべき問題ではない。

今目の前にいる少女。綺麗でつやのある黒髪、整えられた顔、誘い込むような黒い瞳。

デットにはどう表現して良いか分からなかった。もしかしたら、これが「清楚」ってやつなのかもしれない。

服の色は黒だが、似合っていない。どれと言えば白が似合うと思う。

何故黒なのか。服が汚れるようなことを普段しているのか?

いや。それよりも、何故こんな所にいるのかが問題だ。

そう言えば、ここは盗賊のアジトがそのままダンジョンになったもの。

ならば、この少女も盗賊という可能性はある。捨てきれない。

「…何でこんな所にいるんだ?お前」

「…盗賊の人達に捕らえられて…」

気になる点は二つあった。何故この少女は人間の姿のままなのか。

化けただけなのか、それとも心が綺麗すぎて「鏡」には自分の姿が映ってしまうからなのか。

前者だとしたら、何のために?

一体何が目的でこんなことを?騙すため?

いや、確かに今目の前にいる少女は、見る限り清楚だ。一点の汚れも見受けられない。

それが上辺だけだとしたら…。

確かめなければならない。

「名前は…?」

「…ニルヴァーナ……です…」

確か、ブラインドは日の光が苦手とか言ってたような気がする。

「…とりあえず、ここから出よう。つかまって…」

ニルヴァーナは言うとおりにした。

デットはマジカルミラーを掲げる。周りの景色が変化し、神殿の入り口が見え始める。

デットが外へ出ようとすると、ニルヴァーナはそれを拒んだ。

「…どうした?」

「ごめんなさい…ちょっとまぶしくて…」

デットは思考を巡らせる。何故だ、何故外へ出るのを拒む。何故この少女には攻撃しない。何故幽閉していた。

それら全てがある一つの答えに直結していた。デットはそれに気付いた。

「……読めたぞ、この神殿のからくり…」

デットは、レインに確認してみる。

「ええ、確かにこの神殿にはボスのような存在はいない…いや、見つけられなかったのですが…」

レインは困惑した、とでも形容出来るような調子の声でそう言った。

そして、付け足す。

「そう言えば、ニーナさんに似てるかも…」

「ニーナ?」

「光の賢者の名前です。この神殿に幽閉されている賢者だったと思います」

「…なら、答えを言ってるようなものですね。今僕の後ろにいる少女…、この娘がボスなのではないでしょうか?」

「いえ、邪悪な気配は感じられません。しかし、確かめてみるのも良いかも知れません」

デットは了解、とでも言うような素振りを見せ、神殿入り口から遠ざかる。

日の光が苦手と言うことは、それを当てれば良いだけのことだ。
 

ブラインドの洞窟 光の間

そこが何故光の間というのか、ついさっきまでは分からなかった。

だが、今なら分かる。

元来ここには天窓があり、そこから光が差し込んでいたらしい。

その光の中に盗賊のボスはいて、指令を出していたらしい。

これは友達に聞いた話だが、ブラインドのボスは二重人格の女で、暗い所ではまさに「清楚」と呼ぶにふさわしかったとか。

それは、この少女にふさわしい呼び名だった。

逆に明るい場所では気性の荒く、ワイルドな性格だったとか。

盗賊の間では暗い場所にいる時のボスが好みだという者が大多数だったらしい。

中には明るい場所の気性の荒いボスが好みだという者もいたそうだが。

…つまり、いまここにいる少女も、明るい場所に行けば本性を現す。

デットは、少女の手を掴み―

「これってセクハラ?」

「ムッツリか?もしかしてムッツリーニか?」

ロザリオとイヴァリアスが交互に言葉を発する。

「ムッツリでもないしセクハラでもないだろ。つーかムッツリーニって何だよ、ムッソリーニだろ」

そうツッコみながら少女の背中を押す。

「な、何をするんです……」

言葉を言い終わらない内に、少女はその姿を変貌させていく。

眼球は肥大し、筋肉は膨脹し、髪はまるで麺を吸うかのように頭皮に戻っていき、後頭部は気味の悪い形に伸び…。

皮膚は白から赤へと変色し、黒の服は破け、それは燃え、消えた。

服の中から飛び出してきたのは、質量が感じられない白い衣。風もないのにはためいている。

こうして変異した少女を前に、吐き気を我慢しながら言葉を発する――

「出たな、盗賊のボス…さしずめブラインドって所か…」
 


なんか長くなってしまったのでとりあえず11話に持ち越し。
セコいなんて言わせません。

次回更新は3月頃になるかもかもですよ
や、そろそろ本気でやばいな、なんてね


とりあえず俺的BGMの紹介IN10話(何
・デトレイ二人だけの世界(何〜エーテル伝授直前:この子たちに名前を(MOTHER3)
・エーテル入手:メダルゲットファンファーレ(ゼルダの伝説 時のオカリナ)
・はぐれものの村〜ブラインドの洞窟迄:ドロボー・マインド(MOTHER3)
・デット、突然変異:やる気のないダース・ベーダーのテーマ
・ニルヴァーナ救出:ゼルダ姫登場(ゼルダの伝説 時のオカリナ)
・マジカルミラー使用〜デッdボスあぶり出し:試練(天地創造)
・ブラインド様ご登場:ガノン最終戦イントロのみ(ゼルダの伝説 時のオカリナ)


すげー、色んな意味ですげー