ニーヤの伝説
〜愛のデトニヤ劇場☆(待て〜
始まりの章〜出会いは突発的☆(突発的すぎないか?〜
カカリコ村外れ 民家
とある周りに比べたら大きく、城下町に比べたら小さいこの村に、誰も住んでいない家があった。
その家の中には、キッチンやベッド、その他日用品がホコリを被っている。
窓際の机には、不思議とその周りだけホコリが被っていない本があった。
題名は『マイソロジー』。日本語で『神話』を意味する。
その本は独りでに、本を開き、ページをめくり始めた。
―むかしむかしのおおむかし、そのまたむかしのまたむかしのこと。
とうじまだなにもなかったこのニアリスに、『さんにんのめがみ』があらわれました。
『さんにんのめがみ』は、それぞれのじぶんの『おもい』や『ねがい』を、かたちにしました。
ひとりめのめがみは、ゆうき。ふたりめのめがみは、ちから。さんにんめのめがみは、ちえ。
そうしてつくられた『さんかくのちから』を、このち『ニアリス』をつくり、このちのどこかにかくしました。
そして、それはいまもねむりつづけています―
本は次のページをめくろうとした直後に燃えてしまった。
まるで、とてつもなく大きな力に屈するように、本の続きは抹消された。
城下町外れ デットの家
舞台は変わって、ここは城下町の外れにある家。
そこにある二つのベッドの右側の少年と、左側の青年は、ある夢にうなされていた。
それも2人そろって同じ夢。
―誰か、助けてください…―
声の高さからして、その声は女性の声だった。
―聞こえますか?誰か…誰か…―
女性は顔も知らない誰かに向かって呼びかけている。
―私は、お城の地下牢の中にいます…。誰か…助けてください…―
少年と青年は、全く同時に起きた。2人とも、汗だくで、息が切れている。
青年は、ベッドから離れ、簡単に着替え、鎧を付けて、剣と盾を持った。
「…どこか行くのか?ガルドさん。そんな似合わないもの持って」
少年はどこか長旅へ行こうとしているような姿の青年を見て、行った。
どうやら青年の名はガルドというらしい。
「夢を…見ました。その夢は、何故か現実感のあるものでした。これは何かあると思いましてね」
「夢…か。なんか姫みたいな人が助けを求めてる、見たいな感じの夢か?」
「ええ。…いいですか、デット。貴方はこの家から出てはいけません。直ぐに戻って来ます。長くて2時間…です」
そう言うなりガルドは、家を出た。
外は、嵐の夜だった…。
それからデットは、ガルドを待ち続けた。だが、もうかれこれ2時間は経っている。これ以上待っても無意味だろう。
「いくらなんでも遅すぎるな…。これじゃこっちの方が心配になるだろう」
そういうとデットは、机の横にある箱を漁って、ランタンを出した。
デットはランタン片手に飛び出していった。
ニアリス平原
外は兵士達によって封鎖されていた。
ニアディス湖への道、カカリコ村への道、ゾーラの里への道。全て封鎖されており、城下町から通じるのはどこもない。
しかしデットは、城の門の横の草を抜け、どこかに抜け道があるはずだと思い、草むらを探索してみた。
探す所も探し、もう何もないかと思った時、デットは目の前の草がおかしい事に気付いた。
「…草がタイルの間に挟まってる…?」
明らかに怪しいので、草をどけてみた。すると、地下への隠し通路があった。
「やったな。たぶんガルドさんもこの先にいるはずだ」
デットは、通路に入っていった。
通路の中は、かなり薄暗い。ランタン無しでは何も見えない。
「…ランタンを持ってきて正解だったな。こんな所で役に立つなんて。」
デットは、薄暗い通路の中を通る。すると、すぐ先に腕、捲り上げられた袖、肩当て…。そして両手に盾と剣。
「…ガルドさん…?」
「…あぁ…デット……。来てはなりませんと言ったのに…」
ガルドはデットの声に気付き、言った。
「長くて2時間って言ってただろ。それに、僕も気になってな。」
「…じゃあ、この剣と盾を持っていきなさい。貴方には、我が家に代々伝わる奥義、回転切りが使えるでしょう。
剣に意識を集中させ、一気に体を回転させ放つのです」
「…さようなら、デット…」
そう言うとガルドは、息を引き取った。
「おい、そんな死に方は無いだろ。せめて全治しなくともしぶとく生き残ってろよ」
「……ばれましたか。でも、私はここを動けそうにありません。怪我が治ったら、家に戻ってますよ」
「はいはい。じゃあ持ってくぞコレ」
デットはガルドの剣と盾を持って、地下道を出た。
ニアリス城 中庭
地下道から出た先は、城の門の向こうにいた。
いきなり出てきたデットを見て、兵士はデットを斬りつけようとした。
「うわっ…!」
デットはそれを間一髪で避け、剣先に意識を集中した。
「回転切りッ!」
そう威勢良く、それとなく冷めた声で言い、剣を振り回したが、何も出ない。拍子抜けしたデットは兵士の攻撃を避けきれずに…。
斬られたと思ったが、咄嗟に剣で受け止めた。
デットは素早く剣の柄で腹を殴り、気絶させた。
「…しかし、何で出なかったんだ…?」
「それは魔力が無いからよ」
「あっそうか魔力が…って誰だよ」
デットがいきなり現れた光を放つ妖精を見て言った。
「あ、私?私はロザリオよ。ロザりんって呼んでね☆」
「…はぁ?」
いきなり現れた妖精を前に何がなんだかわからないデット。
「つかお前何者だ?」
「私はー、鶏の精霊さんです、職業はー、妖精さんでーす☆」
「んまぁ鶏なんて…微妙だなオイ」
「いいじゃないですかぁ〜」
「良くない、断 じ て 良くない。むしろ悪い」
「えぇ〜?な〜んでぇ〜?」
「何でもだ」
いきなり現れた妖精のロザリオに対して怒りをぶつけるデット。彼は、城の地下牢を目指す途中、ブーメランを見つけた。
ブーメランを使うと的を気絶させることが出来ることにも気付いた。
そして…今彼は地下牢。妖精のロザリオと共に、地下牢に来ていた。