ニーヤの伝説
〜愛のデトニヤ劇場☆(待て〜

来訪の章〜朝起きたらピラミッドの上〜
  闇の神殿


闇の世界 ピラミッド頂上

目覚めたのは、朝だった。それから気付いたことだったが、誰かが自分の名前を呼んでいる。自分は…。

「デット、起きたか?」

その妖精…イヴァリアスはデットをずっと看ていた。デットは起きあがって、とりあえずお礼を言う。

「ここは…どこだ?」

「地裏…地球の裏側…」

某天地を創造するゲームのネタを繰り出してきたロザリオ。

「ARPGと言う点では似ているゲームだけどこれはゼルダだからやめとけ。しかも順番が違う」

「それにネタも分からない」

的確にツッコミを入れるデットとイヴァリアス。そんな時、不意に声が聞こえる。

「デット…今お前の立っている場所は闇の世界じゃ」

その声は、サハスラーラの声だった。

「闇の…世界?」

「そうじゃ。言うなれば司祭デスの不完全な理想郷。黄金の力『トライフォース』の眠る地、聖地なのじゃ。

本来なら聖地は理想郷になるはずだった。じゃがならなかった。

理想郷を造り上げるのに必要な勇者ライディーンの血が無いからじゃ。

良いか、良く聞くのじゃぞ。そもそも司祭デスは、光の世界と闇の世界を支配しようとしたのじゃ。

闇の世界は自らの造る理想郷、光の世界はトライフォースの力で…。

だが、トライフォースは力を持つ物を望む。あやつはトライフォースに選ばれなかったのじゃろうな。

その時、デットの存在を知ったのじゃろう。、デットを倒せば、トライフォースに認められると考えたのじゃ」

「どうでもいいけど勇者の後の打ち消し線ってなんだ?」

デットのツッコミをものともせず、サハスラーラは話を続ける。

「イケニエにされた娘達もこの世界におる。当然、娘達がいる場所には魔物がおる。

まずは闇の神殿へ向かえ。場所は光の世界で言う『東の神殿』と全く同じ場所におる。頼んだぞ、デット」

サハスラーラの声が聞こえなくなった。

「…目的地は分かった。行くぞ」
 

闇の神殿周辺 ツタの迷路

デット達は闇の神殿へと向かっていた。

だが、途中で迷い、様々な場所へと出てしまい、結局闇の神殿へと着くのに半日かかった。

「…なんて不親切な爺さんだ…」

デットは草が天井に生い茂った通路を歩いていた。ここも迷路のようになっており、抜けるのに時間がかかる。

「光の世界と基本構造が同じってだけで細かい所は同じじゃないんだね…」

「滅茶苦茶困る設定だな。プレイヤーのことを考えているのか?」

「いや、実際はすぐ抜けられる。ただ迷うのは確かだが」

3人が話している時、目の前に猿が現れた。

「キキー!ウッキキー!サルキッキー!金よこせー!」

そう言うなり猿はルピーの入った袋をデットから奪い、逃走した。

「あ!こいつっ!」

「キッキー!!」

猿は追いかけようとするデットに尻を向け、いわゆる『空気砲』をデットの顔に放つ。

「ぶわっ!……!」

デットがもんどり打ってる最中に猿は逃げていった。

「あーあ…ルピー取られちゃった…」

「しかも…」

イヴァリアスはデットを見やる。

「デット、臭いぞ」

「臭いわよ」

「僕じゃないぞ…」

「とりあえずあの猿を追うぞ」

そう言うと、イヴァリアスは猿が消えていった方向へ飛んでいく。デットとロザリオがイヴァリアスの後に続く。

しかし彼等は気付いていなかった。

猿がデットの背中にくっついて『空気砲』を発し続けていたことに…。

「なんかさっきから背中が重いな…」

「なんかさっきからデットが臭うわね…」

「なんかさっきからアンモニアと硫化水素とインドールとスカトールみたいな匂いがするんだが…またデットか?」

「僕は違うぞ」

疑いをかけられたデットはそれを否定する……いい加減気付いてください。

「でもデットの所から臭ってるわけだし…」

「待て…デット、背中を見せろ」

「背中をって…」

その時、猿がデットの背中から飛び出し、ロザリオを掴んで投げた。

「…なるほど、こいつが…」

猿はロザリオを掴んでは投げ、掴んでは投げを繰り返していた。

たまりかねたロザリオは、ゼルダの伝説シリーズ最低最凶最悪最後、空前絶後の必殺技を発動させようとしていた。

「このー!よくも私をここまでコケにしてくれたわね!!」

ロザリオから殺気が発せられる。

黄金に輝いたりどす黒くなったりとかしちゃってるそれは、天までに届きそうな勢いだった。

まずいと思ったデットとイヴァリアスは近くの物陰に隠れた。

ロザリオの眼がカッ!と光る。

その時、それは発現した。
 

「食らえー!!コッコの怒り!!!」

天より無数のコッコが降り注ぐ!

コッコにのみ許されたその必殺技は、猿を空中で弄んだかと思えば、地面に叩き付けて持ち上げてとめまぐるしく動き回る。

さらに新しいコッコが現れ、ヒートアップする。

「まだまだぁ、私の怒りはこれだけじゃ収まらないんだからねぇー…」

ロザリオの感情の昂りに呼応するかのように、コッコの数はさらに増す。

そう、コッコの怒りはそれを発動させた者の怒り等の感情が強ければ強いほどその威力を増すのだ。

「ふふふふふふ…喰らいなさい、地獄の羽根攻撃!」

コッコが一斉に羽根を飛ばす。

それは猿に真っ直ぐ飛んでいき、ぐしゅぐしゅずさずさばたばたと奇妙奇天烈な音と、

さらに見知らぬ男女の悲鳴、鉄をハンマーで叩いたような音を立てて猿を突き刺した。

ある漫画のワンシーンを思い出すような演出をしながら、猿は倒れていく。

「これがとどめのぉ…」

そう言うとロザリオは両手を天に掲げた。イヴァリアスはハッと思い、彼の声優たる特技で叫んでみた。

「コッコのみんなー!オラに元気を分けてくれー!!」

…一瞬の沈黙。

「人の台詞を盗らないでよ…二つの意味で…」

コッコの怒りはイヴァリアスに向けられた。危機を察したイヴァリアスはその場を後にする。コッコ達がそれを追いかけていく。

「…哀れだな…」

イヴァリアスがコッコに弄ばれる光景を傍観しながら、デットは闇の神殿へと向かった。

 

闇の神殿 正面玄関

「…まあ此処まで来たわけだが…」

「どうでも良いけどこの小説謎解き全然やってないわね」

「めんどくさいからだろ?」

「…お前らいつからいたの?」

「さっきから」

「おうよ」

ツッコむ気力もなくしたデットは、闇の神殿内部へと入っていった。

「…まあ、入り口は同じか。でも、ダンジョンの構成は違うはずだ」

デットはそう言うと西にある扉を調べてみる。

「とびらは かたく とじられていて あきそうに ない」

「二度目だぞ。それに、こういうのはどっかの床を押せば…」

ガチッ。扉が開いた。

「ほらな」

そう言いながら、デットは扉の向こうへと行く。

バタン、と言う音が後ろで聞こえる。

「一本道とは考えられないな…多分何処かにスイッチがある」

イヴァリアスが言う。

「やっぱりな、ダンジョンの構成はやっぱり違う」

「デット、階段があるわよ、降りてみる?」

「そうだな」

デットは仮面を被った敵を半ば無視して地下一階へと足を運ぶ。

ところが、地下一階に着いた途端、火の粉が飛んできた。どうやらあの彫刻から発せられているらしい。

「…行き止まりか?」

「いや、そんなことはない。特にこういうのは、壺か何かの下に何かスイッチがあるはずだ」

デットはそう言い、部屋の四方に置かれた髑髏を壊し始める。

やがて、左下の髑髏を破壊し、その下にスイッチが置いてあるのを見つけた。

ためらわずデットはそれを踏む。すると、宝箱が出現。

「中身は…小さな鍵か」

小さな鍵をしまうと、デットはマジカルミラーを掲げる。

「へブラ山の賢者が言ってたよな、ダンジョンの入り口まで戻れるって。」

周りの景色が変化する。入り口に戻ってきたのだ。

今度は真ん中の通路を行く。

向かい側の扉に、小さな鍵の錠前があった。

鍵を開け、奥へと歩を進める。

このフロアには、二つの橋が架かっている。

デットは左側の橋を進み、奥のフロアへ進む。水晶のスイッチを切り替え、右側のフロアへ。

「ドアが閉まってるわよ」

「同じような仕掛けが多いダンジョンだよなここ」

そう言いデットは髑髏を壊し始め、右側の一番奥にスイッチが置いてあるのに気がついた。

それを踏んでみる。扉が開く。

「よし」

扉の方へ行こうとした瞬間、扉が閉まる。

「・・・何か重石が必要みたいね」

「・・・石像でも置いとこう」

デットは近い所にあった石像を動かし、スイッチの上に置く。

「これでよし」

奥のフロアへと進むデット。

そのフロアには、服を着た像のような魔物がいた。

「あやしの砂漠の時にも出てきたな、こいつ」

同じ要領で魔物三体を倒す。すると、奥の扉が開いた。

デットは次の部屋へ行く。

そこには、トゲが着いたブロックが通路を行き来している。奥には青水晶のスイッチ、右側には紅い壁が。

弓矢で青水晶のスイッチを狙い撃つ。紅い壁が床に引っ込んでいく。デットは右側の通路へと向かった。

そこには、一つ目の魔物の像があった。それの眼を弓矢で射抜く。すると、右側の壁が轟音を立てて遠ざかっていく。

「似たような仕掛けが他にもあったからな、これは簡単だな」

デットは地下一階へ下りる。だが… 


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