ニーヤの伝説
〜愛のデトニヤ劇場☆(待て〜

髑髏の章〜モスラにご用心〜


水の神殿 神殿解放後

クリスタルが回転しながら巨大化していく。これを見るのは二度目となる。

「デット、貴方のおかげで、魔族の手から逃れることが出来ました…。ありがとう…」

「セリフ同じなんだ」

「そりゃもとがゲームだからね」

デットとロザリオが思いもしなかった会話に驚きながらも即座にツッコんだ。

「私の名前はライム。水の賢者ルトの子孫…」

「それも殆ど同じだ」

「そりゃ(ry」

ロザリオのセリフが強制終了された。

セリフの使い回しをするなって。しかもゲームじゃない。

「というかさ、前回の賢者と今回の賢者、司祭デスの陰謀じゃねえ?」

イヴァリアスが思い出したように言う。

「ああ、確かにそうだな。闇の賢者インパとかルトとか、明らかに――」

「…トライフォースは、それに触れた者の願いをかなえます。その者が生きている限り…」

「ああ…」

デットはセリフの途中で止められたのには気にせず、相づちを打つ。

「だからこそ、聖地に置かれ、選ばれた者だけにその場所が伝えられてきたの。

ところが、それが何処かで途切れてしまったみたい…。そして、再び聖地を見つけたのが、ガノンドロフと言う盗賊だったのよ。」

サッドネスノクターンは、元々は選ばれし者を聖地へと導く切符のようなものだったと聞く。

それは、3つの紋章を手に入れる事の出来る、選ばれし者がトライフォースに触れることを願ってのことだった。

恐らく、何処かでその切符としての役割を成さなくなった。故に聖地の所在が分からなくなった。

「でも、幸いなことに彼は光の世界へ帰る方法がわからなかったの…そう、思い出して。

あなたは、勇者だけが使いこなせるマジカルミラーを持っているじゃない!」

デットは苦笑した。聖地を見つけられるほどの力を持つ男が、光の世界への帰り方がわからなかった?言い得て妙な話だ。

「へブラ山にあった魔法陣が、他にもいくつかあるの」

「あの魔法陣が…?」

「ええ。それを使って二つの世界を行き来すれば、闇の世界に潜む魔物たちも探し出せるわ!

盗賊ガノンドロフ…いいえ、闇の魔王ガノンを倒せるのは貴方だけ…祈っています」

ライムは一旦言葉を切った。

「ちゃんと聞こえたかしら?

 → う   ん 

    ぜんぜん 」

「…うん」

やはりこれはやるのか。デットはもう慣れていた。

「…つーか、これセリフがゲームまんまだよな」

イヴァリアスは今思い至ったかのように言った。

「え?だってさ、台本に…」

そう言い、ライムはどこからともなく台本を出す。そして、確認する。

「えっと、もうちょっと考えて喋ってよ、賢者達がアホみたいじゃん」

ロザリオが天井の方を見ながら言う。その目線の先には、どう見てもアシスタントディレクター…

通称ADにしか見えないような格好をした14歳くらいの髪がボサボサで所々寝癖みたいになってる金髪がカンペを用意していた。

ロザリオはそれを読み上げていた。

「この次は…と。頑張れ、マイク!負けるな、マイク!勝利をつかめ!マイク!MIKE・FOEVERやーーーー!!」

「こっ、壊れたっ!賢者が壊れたっ!」

「最早スクラップ同然の賢者さんがっ!」

ロザリオとイヴァリアスが最早ノリツッコミとしか言えないようなオーヴァーリアクションを取る。

「うるせーんだよこの売女め!なっなんてことっ!?ワタクシの家が荒らされていますわ!!

誰がやったんザマス!?ハクナマタタ、悩まない事さ!アァァイルヴィィィィヴァァァァーーーック!!私は帰って来たぁ!」

「なんかもう台本無かったらかなりの変人だな」

「いや、それ以前に、なんで台本あるの?」

「それ台本にあったセリフだな」

なにがなんだかわかりません。だれかだすけてください。

「なっ何っ!スペシャルサンダーブリザードだと!?その効果は…、相手は死ぬ!?」

「その前に台本破綻してないか?」

「セリフが痛いよ…」

なんかもうキリがないので省略。

誰か気付かせてください。あの人台本のページがすり替えられてること知らずに言ってますから。

 

ニアリス平原 水のほこら入り口

水のほこらから出た時には、空は暗くなっていた。

普段ならもう休んでいるはずだ。だが、今回ばかりはそうも言ってられない。

一刻も早く賢者たちを助けなければならない。そして、ガノンを倒し、世界に平穏をもたらさなければならない。

そればかりか、デットには他に急がなければならない理由があった。

デットは、一旦光の世界へ戻り、迷いの森へと駆け出した。
 

光の世界 カカリコ村

カカリコ村に到着したデットは、魔法陣を探し、発見する。

そして、魔法陣へ飛び込んだ。
 

闇の世界 髑髏の森付近

デット達は森の入り口まで来ていた。ここに、3人目の賢者がいる。デットは、全身に熱いものが走るのを感じた。

ふと後ろを見ると、シープが魔法陣があった場所の上に立っていた。。

「やったな、デット。あと五人だ」

「……」

「分かっている。お前には急がなければならない理由がある」

シープは真っ直ぐデットの眼を見つめる。デットは吸い込まれそうな気分になった。

「……悲しみの夜想曲は、さらなる高みを目指している」

そう言うとシープは、手を差し出した。

「そのオカリナ…、もう気付いているだろうが、吹くと羊がやってくる。

羊は、そのメロディにあったワープポイントとなる場所に行く。先程デットが吹いたメロディは、水のほこらに移動するためのメロディだったんだ。

急いでいるのなら、このメロディをデットに授けよう。そのものを盗賊のはびこる村へと導く交響曲、盗賊のシンフォニーを」

そう言うと、シープはどこからかハープを出す。

「…元々これ神トラなんですが。時オカじゃ無いんですが」

デットのツッコミを無視し、シープは演奏を始める。

何処か哀しげな、そして力強いメロディが闇の世界の草原一帯に響き渡る。

デットは気を取り直し、オカリナでそのメロディを真似る。

 

音が、重なる。

 

オカリナがメロディを奏で、ハープはその装飾をする。

いつの間にか弦楽器も入ってきて、幾つもの音が重なり、その曲を奏でる。

演奏が終了した時、オカリナが七色の光の球に囲まれる。光の球は、オカリナの周りをアトランダムに飛ぶ。

「盗賊のシンフォニー……」

デットがそう呟いた時、シープはそこにはいなかった。

「……こんな大役が務まるわけがないと思ってたが……」

デットは一人呟いた。
 

はやる気持ちを抑えながら、デットは森へと入っていく。

ここにいる賢者は、デットにとって特別なのだ。

「なんで急いでるんだ、デット?」

イヴァリアスが聞く。

「何だっていいだろ」

いつになく無愛想な顔をしてデットは答える。それにイヴァリアスは憤りを感じた。

「デット、そこら中に穴があるわ。気を付けて」

「ああ。でも、こういうのは案外落ちてみると下に神殿があったりするんだよな…つーか、お面外せよ」

デットは後ろで不気味な仮面―すこーしウルトラマンに似ている―を被って巨大化しているロザリオの方を見るなり、そう言った。

「何よ、ちょっとウルトラマン気分を味わおうと思って被ってみただけなのにー。

3分経ったら苦しむフリをして胸のランプを光らせるのが―」

「そんな醍醐味はない」

実を言うとこの巨人の仮面、タイプが二つある。一つは仮面の形が残るもの、もう一つは仮面が顔と同化し、見えなくなるものだ。

因みにロザリオは両方とも持っている。

不意に、ライムとの会話を思い出した。


「ロザリオ、名前は分からないけどそこのクソ妖精。ちょっと席―台本に書いてあるからツッコまないでね―外してくれる?」

「いや、俺は別の所にツッコみたい」

「あいあいさ!わかったとさ!」

なんか元気に反応したロザリオ(巨人の仮面装備済)が、

文句をブーブー垂れてる馬鹿妖精を手で握りつぶしそうな勢いで掴んで去っていった。

「…哀れな……」

デットは驚愕した。

「…デット、貴方は急がなきゃならない…」

ライムは重苦しい表情で重苦しい声で重苦しそうに言った。

「ああ、早くしないとガノンの思惑の通りになってしまうからだろ」

「それもあるけど、それとは違う、別の理由で急がなきゃならないと思う」

デットは眉を寄せる。

「何故だ?」

「もう分かってるとは思うけど、次の目的地…森の神殿には、貴方の一番大切な人がいる」

「……?」

デットはその言葉を聞いて、表情をがらりと変える。

「森の神殿…いや、髑髏の森は、それ自体が複雑に入り組んだダンジョン…下手すればそこで餓死する可能性もあり得るよ。

もし賢者を救い出せたとしても、その時既に大きな力の通り道が開き切っちゃうことだってあり得るんだよ」

「…ここでモタモタしてると、賢者たちも救えなくなる、光の世界はあいつの手に落ちる、僕達はそこで永遠に抜け出せなくなる…

ってことになりかねないな」

「そう。だから、ここは私の力で正しい道を知らせるよ。そうすれば、少しは早く助けられると思うしね」

デットは、首を縦に振った。

「…レインさんが賢者だったなんてな。ニーヤの話を聞いた時は同じ名前だとしか思わなかった…」

「司祭デス…ガノンは、デットがニーヤ姫を助け出してから、デットを強く憎むようになったんだよ…。

だから、レインさんを一番厄介で、一番複雑で、一番時間のかかる所へ幽閉したんだよ。

それに、場合によっては、レインさんを殺す可能性もある」

そう言えば、司祭デスは自分を始末したがっていたような気がする。

その時は『理想郷―フロンティア―』のためだとかほざいていたが、今となっては違う気がする。

全ては、一番の邪魔者であり、一番の憎むべき敵である、この自分を殺すためだ。

「そうだ。次の神殿では、炎を自在に操ることが出来なきゃ苦労すると思う…小さなものでも、大きなものでも」

「…どういう意味だ?」

「次の目的地が森だと言うことは、ボスの弱点も敵の弱点も火だってこと」

確かに、そう言うことになる。だが、どうしろと言うのだ。

「小さな炎を操るすべは森の神殿で分かる。だから、大きな炎を操るすべを、勇者に授けます」

ライムは両手をかざし、強く念じる。

「サッドネスノクターンを掲げて」

デットは言うとおりにした。すると、地面から炎の柱が伸び、円状に広がっていく。

そして、それは業火となり、デットの周りの空間で爆発を起こす。

爆発が収まった時、デットの手のひらに一枚のメダルが収められた。

「魔法のメダル『ボンバー』だ!爆裂が地面を走る魔法だぞ!でも、魔法メーターに注意!」

それを手にした瞬間、デットの口から想像もしなかった言葉が発せられた。

「これで、大きな炎を操るすべは貴方の手の中に収められました。

それを握りしめた状態で、サッドネスノクターンを掲げるだけで、魔法が使えます」

デットはしかめっ面ではあったが、首を縦に振った。

「勇者の行く道が、トライフォースへと導かれますように…」


このころから三点リーダ使い始めたから編集が楽だ(何

Aパートはライムとの会話が殆ど。ボンバー伝授まで。

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